Sense of Wonder

個人的に読んで見て聞いて触って味わったモノについて書き留めているブログです。

フォース・カインド

フォース・カインドの試写会へ行ってきました。全くの予備知識無し。TVでちらっと見たCMではなんだか怖そうな映画だなと思っていた程度でした。
場所はアラスカ州ノームという小さな町。夫を何者かに殺された女性心理学者タイラー博士が、不眠症を訴える住民たちを睡眠療法で調査しているうちに、何人もの人が同じイメージを見ていることに気が付きます。
実際の記録映像と再現映像を組み合わせて構成された感じで作られています。

途中までは、ドキドキしながら観ていました。
恐怖映画とかはウソだとわかっていても、作品自体にのめり込ませるような本物らしさを演出する仕掛けが必要だよね。観るほうもそれを了解の上で、上映中だけであってもその気になって楽しめればいい。
フォース・カインドは、わざわざ実在の学者が撮った記録映像だという画質の荒いビデオ画像と、さらに「それを元に作った再現映像です」と断った上で、ふたつの映像をおりまぜながら映画として組み立てていて、最近の流行っぽい手法だけどおもしろいなと思いながら観ていました。
今まで見たことのない、何か怖いものを見せてもらえるのかと・・・

ところが唐突に「第3種接近遭遇」とか「第4種接近遭遇」などという言葉が出てきたあたりから、あれあれ?そういう話だったの?
そこで、はたと気が付きます。

「フォース・カインド」=「The 4th kind」=「第4種」

何だ、そうだったのか。全く違う恐怖映画のつもりで観てたのが、このあたりから矢追純一の木曜スペシャルをいっぱい手をかけて作り込んだみたいにしか思えなくなってしまった。
いまさらながら手垢にまみれた「第4種接近遭遇」の方へ物語は大きく舵を取ります。案の定何の解決も結論もないまま、物足りない結末を迎えたのでした。やっぱり木曜スペシャルと同じじゃん。

それはそれとして、映像としてはそこそこ楽しめました。
よくよく題名を見れば、最初からネタは割れているし、「信じるかどうかは、あなた次第。」という謳い文句も、その通りだよねとしかいいようがない。ある意味とっても良心的な映画かも。

記録映像のスタジオで対談しているタイラー博士の顔が一番宇宙人ぽくて怖かったです。

今回から映画の評価をにしました。
フォース・カインドは、★★★☆☆(星みっつ)です。


☆☆☆☆ ・・・ 試写会で見ておいて、観る価値無しとは言いづらいなぁ。
★★☆☆☆ ・・・ TVでやるみたいだから、暇つぶしに観てみようか。
★★★☆☆ ・・・ レンタルDVDが出たら、おうちで観ようっと。
★★★★ ・・・ お金払って、映画館で観るべし。
★★★★★ ・・・ 映画館で観たい。DVDも買って何度も観たい!

ホワイトアウト

「ホワイトアウト」試写会に行ってきました。織田裕二の邦画じゃないよ。
南極で起きた殺人事件の話です。
ちなみに邦画の方のホワイトアウトは期待したほどじゃなかったけど、真保裕一原作の小説は非常におもしろくておすすめです。
話がそれました。
南極大陸で殺された隕石調査チームの地質学者。それを調査する、基地に勤める米国連邦保安官キャリー・ステッコ。
ミステリーというほどの謎でもないし、どちらかというと極寒の猛吹雪の中で殺人鬼に追いかけ回されるサスペンス映画。いや、ホラーに近いかも。
上映時間は1時間40分くらいで、ダラダラ長くないのはいいんですが、登場人物同士の人間関係や、南極基地同士の位置関係、基地の間取り、棟のつながりなどさりげなく説明してもらえるとわかりやすかったのになと、思いました。カットされちゃったのでしょうかね。

デートには向きません。グロテスクな死体が出てきたりするので、そういうのが苦手な人もやめたほうがいいかも。ペンギンさんとかかわいい動物も出てきません。国家間にまたがるの巨大な陰謀とかもありそうでいて、全くありません。サスペンス、ミステリー、ホラー全部中途半端。

氷点下50度、寒くてふるえる映画が好きな人向けです。そんな人いるのかって?・・・私はけっこう好きです。真冬の吹雪いている夜に観たい映画でした。

50点。

ついでだから私のような、氷の世界好きにおすすめの本も紹介しておこう。

白銀の聖域 (創元推理文庫)
マイケル ムアコック
東京創元社

マイケル・ムアコック作「白銀の聖域」です。
氷河期により氷におおわれた世界を描く、冒険SFです。目指すは伝説の都市、ニューヨーク!
ヒロイックファンタジーではありません。寒い夜にふとんにくるまって読むのがいいでしょう。

サブウェイ123 激突

久しぶりの試写会です。原題は「The Taking of Pelham 123」
これ、見たかったんだよね。「サブウェイ・パニック」のリメイクだと聞いてたから。

映画「サブウェイ・パニック」は、もう30年くらい前にテレビで見て、そんな大作というわけじゃないけど、当時とても気に入った1本でした。
でも、あらためて考えてみると、細かいあらすじを全然覚えていない。
地下鉄を乗っ取った犯人が身代金を要求して、警察と頭脳戦を繰り広げるっていう本当に大まかなあらすじは、憶えてる。わくわくドキドキしながら、見てたなぁという記憶だけ。細かいことは憶えてないけど、サスペンス部分がとても印象に残った映画だったんだね。
それと、風邪気味なのに地下鉄なんか乗っ取っちゃいけないということだけは、頭の片隅に残っていた。

それはさておき、「サブウェイ123 激突」。お金はあんまりないけど、一生懸命頭をひねっておもしろい映画を作ったよ!というところを目指したんだろうけど、そういう意味ではニューヨーク市内のカーアクションより犯人と地下鉄職員の頭脳戦にもっと力を注いで欲しかった。
アクションとか、力業でぐいぐい観客を引っ張っていく映画ではないので、細かいディテールをきちんと積み重ねて欲しいんだけど、その辺がちょっと物足りない。
それなりにサスペンスも盛り上げてくれるし、悪い映画じゃないんだけど、期待がふくらみすぎてたせいか、もう少しがんばって欲しかったな。

とはいえ、昔の「サブウェイ・パニック」だって、今見たらどう思うのかなぁ。なにしろ30年くらい前の記憶だからねぇ。比べられるほど憶えてないや。レンタルビデオ屋さんで探してみようっと。

60点。

ターミネーター4

試写会に行ってきました。おもしろかったよ。

シリーズものとしてのストーリー的なひねりや、SFマインドをくすぐるような展開は、まるっきり無いんだけど、というより、お話の内容はどうでもいい感じで、とにかく重量級のアクションに焦点を絞った、そんな映画です。

トラックを使ったカーアクションとか、荒廃した世界を舞台にしているところなんか、懐かしのマッドマッックス!
戦闘機の空中戦や、ヘリコプターのあつかいも迫力あるし、どういう意味があるのかよくわからないけど人型巨大ロボット(骨格ターミネーターのでかいの)や、オートバイ型ターミネーターも出てきます。
このオートバイ型(モトターミネーター)がぐるんと回りながらも体勢を立て直して疾走したりして、かっこいい。もっと活躍して欲しかったな。

マシーン側は、サイボーグにしたマーカスにいったい何をさせたかったの?とか、カイルを殺せばジョンも存在しなくなるはずなのに、さっさと殺さないのは何故?とか、そんなこと考えちゃダメ。
アクションシーンを無条件に楽しむのが、この映画の見方です。

ぜひとも大画面で観るべし。

映画としてなら70点。アクション映画としてジャンルを限れば80点あげてもいいかな。
ちなみにターミネーターは80点、ターミネーター2は85点。ターミネーター3は番外(どんな映画だったけ?)

GOEMON

「CASSHERN」の紀里谷和明監督第ニ作目が「GOEMON」です。

登場人物は、みんな知ってる歴史上の有名人ですが、あくまでも名前を借りてるだけ。時代劇っぽいけど、時代劇ともちょっと違う。歴史的な設定も、衣装(というよりもファッション)も建築物も含めて世界そのものが紀里谷監督の頭の中の美意識にしたがって映像化された感じ。それはそれでパラレルワールドかと思えば楽しめるし、意欲は買います。
でもやっぱり映像はチープだ。最初の花火の場面も北京オリンピックに負けてる。背景がいかにもCGだっていうせいもあるかも知れないが。ちょっと悔しい。
決闘場面の草原はどう見ても1本1本描いた、あからさまにCGだし、アクション場面も地に足が付いていない。その場で駆け足して背景だけグルグルブン回してる感じ。
「CASSHERN」は、一応新造人間だからとんでもないジャンプ力があっても、そういうもんかなって感じだけど、五右衛門は忍者という設定とはいえ人間なのに、そこだけ月面?っていうくらいのジャンプ力。時代劇の設定をまるごと変えちゃうのは、全然かまわないんだけど、重力の設定まで変えちゃうのはどうなの?

紀里谷監督は、なんか新しいことをやってくれそうで期待はしてるんだけど、「GOEMON」に関しては、「CASSHERN」の予算を少し増やして、お話ももう少しわかりやすくしました、という程度であまり進歩していない。1対大勢のアクションシーンはまさに「CASSHERN」そのまんま。

俳優さんたちは、がんばってる感じが出ていて良かったです。背景がまるごとCGというか、テレビゲームの中みたいなので生身の俳優さんたちが存在感を出してくれないと、映画としては耐えられなかったかも。

55点。