Sense of Wonder

個人的に読んで見て聞いて触って味わったモノについて書き留めているブログです。

「宇宙戦争」いろいろ

字が読めるようになって、初めて買ってもらった本がSF絵どうわ「火星人がせめてきた」でした。
H・G・ウェルズの「宇宙戦争」です。これで、SF小説好きが決定されてしまったのですね。
何度も何度も読み返したのを覚えています。白旗を持ったオーグルビーたちの行進や、戦艦が三本脚機械に体当たりする場面がいまだに脳みそに焼き付いています。
それこそ小説や、映画など巷にあふれかえっている、宇宙からの侵略ものの元祖です。

宇宙戦争

宇宙戦争 (ハヤカワ文庫SF)
H.G. ウエルズ
早川書房
売り上げランキング: 569117
おすすめ度の平均: 4.0

5 これは面白い
4 火星人よりも、主題はむしろ「人間の心」
5 マシーンの攻撃のしかたが恐ろしい・・・
3 案外機会がないから
1 この翻訳はいかんでしょう

19世紀末、ロンドン近郊に直径25メートルを超える巨大な円筒形の物体が落下。
中からおぞましい生物が現れた。
天文学者オーグルビーを含む地球人代表団が近づくが、意思の疎通もはかれぬまま円筒から照射された熱線が無造作に代表団を薙ぎ払う。
こうして火星人の地球侵略が始まった。
やがて次々に飛来する円筒形ロケットから高さ30メートルもある3本脚の金属製の怪物が現れ、熱線と黒い毒ガスで村や街を破壊していく。
主人公「わたし」も妻とともに馬車で自宅から20キロ離れた妻の従兄弟たちのもとへと逃げ出していた。
「わたし」は破壊された街の中で生き延びることが出来るのか。いや、人類が火星人の恐ろしい戦闘機械に対して抵抗するすべはあるのか。
侵略テーマSFの古典です。

翻訳は、たくさん出ていますが、数年ぶりに読み返してみたのは、ハヤカワ文庫斉藤伯好氏の新訳決定版と銘打っているもの。文字も大きめで(最近、目が遠くて)今風の訳で読みやすいことは読みやすい。
ただ、言葉遣いがあんまり現代的すぎて、「戦闘マシーン」だとか、「ビーム」なんて言い回しが19世紀のロンドンの雰囲気を壊しているような気もします。

おまけ

シャーロック・ホームズの宇宙戦争

シャーロック・ホームズの宇宙戦争
マンリー・W・ウェルマン & ウェイド・ウェルマン t著
深町 真理子 訳
東京創元社

19世紀末といえば、ロンドンで活躍していたのがシャーロック・ホームズです。火星人がやって来たとき、ホームズがどうしていたのかというと、この本を読めばわかります。
登場人物は、もうひとり。同じくコナン・ドイルの小説「失われた世界(ロストワールド)」でアマゾンまで恐竜を探しに行ったチャレンジャー教授です。
このふたりが火星人を相手に冒険を繰り広げます。ただし、このふたりをもってしても、火星人を直接やっつけるところまではいかないところが残念。

さらにおまけ

火星人類の逆襲

火星人類の逆襲
横田 順弥
新潮社 (1988/05)

明治四十四年八月、帝都東京をおそう怪異な機械。それは、十三年前にロンドンを襲った火星人類の戦闘機械だった。
帝都の危機に立ち上がるのは、イギリスがシャーロック・ホームズや「失われた世界」のチャレンジャー教授なら、日本は、空想科学小説「海底軍艦」の作者、押川春浪と吉岡信敬らバンカラ集団「天狗倶楽部」の面々であった。

読みどころは、実在の人物たちや歴史の出来事を織り交ぜながら、丹念に描かれた明治の情景や風俗です。
こちらはシャーロック・ホームズたちと違って、「天狗倶楽部」の痛快な活躍も楽しめます。

もひとつおまけに

トリポッドシリーズ

トリポッド 1 襲来 (ハヤカワ文庫 SF)
ジョン・クリストファー
早川書房
売り上げランキング: 295938
おすすめ度の平均: 5.0

5 古臭さを全く感じない
5 あの<三本足>シリーズの復活
5 古くないSF

ジュブナイルSFです。設定は、「宇宙戦争」と同じである日、宇宙のどこかから3本脚の戦闘機械とともに侵略者がやってきます。
ただ、侵略の方法が違います。力ずくに破壊を進めるわけではなく、じわりじわりと静かに、確実に地球人たちを支配していきます。気づいたときには、周りの人たちが皆侵略者たちに洗脳されてしまっています。
このシリーズは、そうしてすっかり支配されてしまった地球で一握りの人々が抵抗を続ける物語です。

1巻から4巻まであり、1巻目はどうやって人類が支配されていったかのお話で、2巻目以降はそれから100年後の侵略者に飼い慣らされてしまった人類のお話です。2から4巻は、まとめて買って一気読みがお勧め。