2009年12月16日

フォース・カインド

フォース・カインドの試写会へ行ってきました。全くの予備知識無し。TVでちらっと見たCMではなんだか怖そうな映画だなと思っていた程度でした。
場所はアラスカ州ノームという小さな町。夫を何者かに殺された女性心理学者タイラー博士が、不眠症を訴える住民たちを睡眠療法で調査しているうちに、何人もの人が同じイメージを見ていることに気が付きます。
実際の記録映像と再現映像を組み合わせて構成された感じで作られています。

途中までは、ドキドキしながら観ていました。
恐怖映画とかはウソだとわかっていても、作品自体にのめり込ませるような本物らしさを演出する仕掛けが必要だよね。観るほうもそれを了解の上で、上映中だけであってもその気になって楽しめればいい。
フォース・カインドは、わざわざ実在の学者が撮った記録映像だという画質の荒いビデオ画像と、さらに「それを元に作った再現映像です」と断った上で、ふたつの映像をおりまぜながら映画として組み立てていて、最近の流行っぽい手法だけどおもしろいなと思いながら観ていました。
今まで見たことのない、何か怖いものを見せてもらえるのかと・・・

ところが唐突に「第3種接近遭遇」とか「第4種接近遭遇」などという言葉が出てきたあたりから、あれあれ?そういう話だったの?
そこで、はたと気が付きます。

「フォース・カインド」=「The 4th kind」=「第4種」

何だ、そうだったのか。全く違う恐怖映画のつもりで観てたのが、このあたりから矢追純一の木曜スペシャルをいっぱい手をかけて作り込んだみたいにしか思えなくなってしまった。
いまさらながら手垢にまみれた「第4種接近遭遇」の方へ物語は大きく舵を取ります。案の定何の解決も結論もないまま、物足りない結末を迎えたのでした。やっぱり木曜スペシャルと同じじゃん。

それはそれとして、映像としてはそこそこ楽しめました。
よくよく題名を見れば、最初からネタは割れているし、「信じるかどうかは、あなた次第。」という謳い文句も、その通りだよねとしかいいようがない。ある意味とっても良心的な映画かも。

記録映像のスタジオで対談しているタイラー博士の顔が一番宇宙人ぽくて怖かったです。

今回から映画の評価をにしました。
フォース・カインドは、★★★☆☆(星みっつ)です。


☆☆☆☆ ・・・ 試写会で見ておいて、観る価値無しとは言いづらいなぁ。
★★☆☆☆ ・・・ TVでやるみたいだから、暇つぶしに観てみようか。
★★★☆☆ ・・・ レンタルDVDが出たら、おうちで観ようっと。
★★★★ ・・・ お金払って、映画館で観るべし。
★★★★★ ・・・ 映画館で観たい。DVDも買って何度も観たい!

2009年10月28日

ホワイトアウト

「ホワイトアウト」試写会に行ってきました。織田裕二の邦画じゃないよ。
南極で起きた殺人事件の話です。
ちなみに邦画の方のホワイトアウトは期待したほどじゃなかったけど、真保裕一原作の小説は非常におもしろくておすすめです。
話がそれました。
南極大陸で殺された隕石調査チームの地質学者。それを調査する、基地に勤める米国連邦保安官キャリー・ステッコ。
ミステリーというほどの謎でもないし、どちらかというと極寒の猛吹雪の中で殺人鬼に追いかけ回されるサスペンス映画。いや、ホラーに近いかも。
上映時間は1時間40分くらいで、ダラダラ長くないのはいいんですが、登場人物同士の人間関係や、南極基地同士の位置関係、基地の間取り、棟のつながりなどさりげなく説明してもらえるとわかりやすかったのになと、思いました。カットされちゃったのでしょうかね。

デートには向きません。グロテスクな死体が出てきたりするので、そういうのが苦手な人もやめたほうがいいかも。ペンギンさんとかかわいい動物も出てきません。国家間にまたがるの巨大な陰謀とかもありそうでいて、全くありません。サスペンス、ミステリー、ホラー全部中途半端。

氷点下50度、寒くてふるえる映画が好きな人向けです。そんな人いるのかって?・・・私はけっこう好きです。真冬の吹雪いている夜に観たい映画でした。

50点。


ついでだから私のような、氷の世界好きにおすすめの本も紹介しておこう。

白銀の聖域 (創元推理文庫)
マイケル ムアコック
東京創元社

マイケル・ムアコック作「白銀の聖域」です。
氷河期により氷におおわれた世界を描く、冒険SFです。目指すは伝説の都市、ニューヨーク!
ヒロイックファンタジーではありません。寒い夜にふとんにくるまって読むのがいいでしょう。

2009年8月23日

サブウェイ123 激突

久しぶりの試写会です。原題は「The Taking of Pelham 123」
これ、見たかったんだよね。「サブウェイ・パニック」のリメイクだと聞いてたから。

映画「サブウェイ・パニック」は、もう30年くらい前にテレビで見て、そんな大作というわけじゃないけど、当時とても気に入った1本でした。
でも、あらためて考えてみると、細かいあらすじを全然覚えていない。
地下鉄を乗っ取った犯人が身代金を要求して、警察と頭脳戦を繰り広げるっていう本当に大まかなあらすじは、憶えてる。わくわくドキドキしながら、見てたなぁという記憶だけ。細かいことは憶えてないけど、サスペンス部分がとても印象に残った映画だったんだね。
それと、風邪気味なのに地下鉄なんか乗っ取っちゃいけないということだけは、頭の片隅に残っていた。

それはさておき、「サブウェイ123 激突」。お金はあんまりないけど、一生懸命頭をひねっておもしろい映画を作ったよ!というところを目指したんだろうけど、そういう意味ではニューヨーク市内のカーアクションより犯人と地下鉄職員の頭脳戦にもっと力を注いで欲しかった。
アクションとか、力業でぐいぐい観客を引っ張っていく映画ではないので、細かいディテールをきちんと積み重ねて欲しいんだけど、その辺がちょっと物足りない。
それなりにサスペンスも盛り上げてくれるし、悪い映画じゃないんだけど、期待がふくらみすぎてたせいか、もう少しがんばって欲しかったな。

とはいえ、昔の「サブウェイ・パニック」だって、今見たらどう思うのかなぁ。なにしろ30年くらい前の記憶だからねぇ。比べられるほど憶えてないや。レンタルビデオ屋さんで探してみようっと。

60点。

2009年8月18日

ゴーヤ

ゴーヤ

プランターのゴーヤが実を付けました。ちっちゃい。北海道でも出来るんだね。緑のカーテンにはほど遠かったけれど、天候不順の割りにはまぁまぁ育ったんじゃないかな。植えるのも遅かったしね。来年は、しっかり準備して緑のカーテンにしたいな。
植えたのは、小さい品種だったんだけど、これが限界なのかな?よくわかりません。もう少し様子を見てみよう。


2009年8月14日

タンチョウ

タンチョウ

今年もお盆休みに避暑もかねて実家の釧路へ。
久しぶりに野生のタンチョウを見ました。地方からきた鳥好きの人には「お、おぉ!」という感じかもしれませんが、元釧路市民にとっては「お」くらい?
それでも野生となると、やっぱり珍しいかも。

2009年6月 4日

スター・トレック

スタートレック2009年劇場映画版 第11作目です。
ところで、これって日本語タイトルが「スター・トレック」なんだけど、シリーズの他作品と区別するのは真ん中の点だけ?
一般的にはいろんなシリーズ全体を指してスタートレックと呼んでいるから、後々「スター・トレック」だけだと特定の映画を指すのか、シリーズのことを言っているのか、こんがらがってめんどくさいことになりそう。

ま、そんなことはとりあえず置いておいて、映画は良かった。とっても。
キャスティングも新たに、カークたちエンタープライズクルーの若かりし頃を描いた娯楽大作。
監督も「クローバーフィールド」のJ・J・エイブラムスだし、どんな新しいイメージを見せてくれるのか、すごく期待してました。

一番心配だったのは、スポック役の俳優さん。「HEROES」の殺人超能力者サイラーをやってた人(ザカリー・クイント)だと聞いて、あの特徴的な顔が映画を観ながらチラチラ頭の片隅をよぎったらどうしようかと思っていたけど、全然そんなことはなかった。すっかりスポックになりきってたので、知らずに観てもサイラーをやってた人とは思わなかったかも。

スタートレックを観たこと無い人にも楽しめるように作ったとのことですが、この展開の早さで、何の説明もなしに進むストーリー。初めて見る人がついていけるのかちょっと心配ですが、往年のスタートレックファンには、とても楽しい時間でした。
士官候補生からいきなりキャプテンかよとか、ツッコミどころも満載ですが、それも含めてあーでもない、こーでもないと話のタネにして楽しむのが正しい見方かと。

以下ネタバレ有り。

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2009年6月 3日

ターミネーター4

試写会に行ってきました。おもしろかったよ。

シリーズものとしてのストーリー的なひねりや、SFマインドをくすぐるような展開は、まるっきり無いんだけど、というより、お話の内容はどうでもいい感じで、とにかく重量級のアクションに焦点を絞った、そんな映画です。

トラックを使ったカーアクションとか、荒廃した世界を舞台にしているところなんか、懐かしのマッドマッックス!
戦闘機の空中戦や、ヘリコプターのあつかいも迫力あるし、どういう意味があるのかよくわからないけど人型巨大ロボット(骨格ターミネーターのでかいの)や、オートバイ型ターミネーターも出てきます。
このオートバイ型(モトターミネーター)がぐるんと回りながらも体勢を立て直して疾走したりして、かっこいい。もっと活躍して欲しかったな。

マシーン側は、サイボーグにしたマーカスにいったい何をさせたかったの?とか、カイルを殺せばジョンも存在しなくなるはずなのに、さっさと殺さないのは何故?とか、そんなこと考えちゃダメ。
アクションシーンを無条件に楽しむのが、この映画の見方です。

ぜひとも大画面で観るべし。

映画としてなら70点。アクション映画としてジャンルを限れば80点あげてもいいかな。
ちなみにターミネーターは80点、ターミネーター2は85点。ターミネーター3は番外(どんな映画だったけ?)

2009年5月 7日

ミスト +B

「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」という宣伝文句に吊られてDVDを借りてきました。
震撼かどうかはわかりませんが、個人的にはとっても後味の悪いラストでした。
てっきり霧の中のなにかの正体がわかるとか、謎が解明されてビックリ!なんてことを期待していたんだけど、全然違っていました。

映画としては、正統派のB級映画です。
こんな状況なのに、なんでこういう行動をとるの?というオンパレードです。
それでもお金をかけずに盛り上げるぞ、という心意気は感じます。すっぽり町ごと霧につつまれてしまうので、余計なものを見せなくてすみますし、得体の知れない怪物たちも詳細まで作り込まなくてもOK。
最後の方では、ある意味美しさまで醸し出しています。

町中をおおった白い霧。しかも霧の中には得体の知れないなにかがいる。訳もわからず、スーパーの中で足止めをくらう人々。
結局、このような極限状態をどう乗り越えればいいかを考えたとき、やっぱりリーダーシップをとる人が必要なんだなと感じました。主人公たちはそんな器ではなさそうですし、本人たちも自覚していて、隣人の弁護士を担ごうとしますが、信頼関係を築けなくてうまくいきません。スーパーマーケットに閉じこめられた人々は力を合わせて団結することもなく、どんどん分裂していきます。
ひとりでも指揮を執る人がいれば、それぞれに役割を与えて、働かせることで希望を持って対応策を立てられただろうし、ヒステリー集団が生まれることもなかったんじゃないかな。

全体を通してB級テイストなんだけど、「震撼のラスト15分」ってやつでとにかく、印象に残る映画になったことは確かです。
うまいこと宣伝にのせられてしまいました。これがなきゃ、それこそただのB級映画。おかげで「B+」ってところです。

このラストに関わる部分で、最後に指摘させてもらえば、主人公たちはどうしてそこらにごろごろ乗り捨てられている車に乗り換えて、先へ進まなかったのかしらん。てっきりそうすると思ってたのに。
だから最後まであきらめちゃダメだって言ったじゃない(画面に向かって)

2009年4月20日

GOEMON

「CASSHERN」の紀里谷和明監督第ニ作目が「GOEMON」です。

登場人物は、みんな知ってる歴史上の有名人ですが、あくまでも名前を借りてるだけ。時代劇っぽいけど、時代劇ともちょっと違う。歴史的な設定も、衣装(というよりもファッション)も建築物も含めて世界そのものが紀里谷監督の頭の中の美意識にしたがって映像化された感じ。それはそれでパラレルワールドかと思えば楽しめるし、意欲は買います。
でもやっぱり映像はチープだ。最初の花火の場面も北京オリンピックに負けてる。背景がいかにもCGだっていうせいもあるかも知れないが。ちょっと悔しい。
決闘場面の草原はどう見ても1本1本描いた、あからさまにCGだし、アクション場面も地に足が付いていない。その場で駆け足して背景だけグルグルブン回してる感じ。
「CASSHERN」は、一応新造人間だからとんでもないジャンプ力があっても、そういうもんかなって感じだけど、五右衛門は忍者という設定とはいえ人間なのに、そこだけ月面?っていうくらいのジャンプ力。時代劇の設定をまるごと変えちゃうのは、全然かまわないんだけど、重力の設定まで変えちゃうのはどうなの?

紀里谷監督は、なんか新しいことをやってくれそうで期待はしてるんだけど、「GOEMON」に関しては、「CASSHERN」の予算を少し増やして、お話ももう少しわかりやすくしました、という程度であまり進歩していない。1対大勢のアクションシーンはまさに「CASSHERN」そのまんま。

俳優さんたちは、がんばってる感じが出ていて良かったです。背景がまるごとCGというか、テレビゲームの中みたいなので生身の俳優さんたちが存在感を出してくれないと、映画としては耐えられなかったかも。

55点。

2009年4月 1日

グラン・トリノ

妻を失い、息子たちにも疎まれながら孤独に暮らす老人。隣人の東洋人や、黒人などにも平気で差別用語を吐くような彼が、隣に住む姉弟を通じて少しずつ変わっていく様子が、時にクスクス笑わせながら、丁寧に描かれます。
しかし後半、移民による暴力事件などにより状況はどんどん悪い方へと転がっていきます。

頑固オヤジのイーストウッドは、歳をとってもかっこいい。普段はまぁそれなりの年寄りなんだけど、ここぞというときには、ダーティハリーが顔を覗かせます。
でも昔のイーストウッドの映画を観て育った世代には、「許されざる者」で西部劇の、「グラン・トリノ」でアクション映画のヒーローの、その後の決着を付けているようで、なんだかお別れ前の身辺整理みたいな気が一瞬してしまいました。

内容の割りに重苦しくは感じません。それはつねに前へ進むための希望を描いているからです。いい映画でした。
お別れ前の身辺整理なんて書いてしまいましたが、ラストを見る限り、昔の俳優業は区切りを付けて、監督として新しい作品に挑戦していくぞという意気込みだと勝手に解釈することにしました。

80点。